金属の塑性(変形する性質)を利用した成形法を総称して「鍛金」といいます。
精錬または合金に調整した金属材料を地金といい,これを金槌で打つなどの方法で形を作ることをさします。
もちろん現代では産業的に工場の設備で地金が生産され、機械で板・棒・線などに加工した金属材料が市販されていますから、私たちはその材料を使って作品を作ることができます。
また、方法も産業界の新しい技術を取り入れることで、多様な表現が可能となり、溶接などを使って大きな作品も作られています。
鍛金に含まれる技法名の一部
「鍛金」は金属の塑性を活かして成形する方法であるが、下記のような分類も使われる。
鍛 造:主に塊状の金属を打ち延ばしてつくること。
打ち出し:板状の金属を打ち出してレリーフや立体にすること。
器物類の制作も含むが変形量の多い深いものは絞りを行う。
絞 り:板状の金属の周辺部を絞り寄せることで立体にすること。
当て金と金鎚を使い,徐々に目的の形に成形する。
器などの回転体が基本であるが、不定形の立体作品も、絞りを応用して作る。
注:「鍛金」は金工を大きく3つに分類する言い方のひとつで、
他に、溶かして型に流し込む成形法を「鋳金」といいます。
また、加飾や細工的な加工を「彫金」といいます。
なお、産業界では「鍛造」「鋳造」「彫刻」ということばを使います。
(産業界での「彫刻」は美術界の「彫塑」とは異なり細かい切削加工です)
道具について
鍛金という技法に使われる道具の基本は、金鎚と金床でしょう。
金鎚は絵描きの筆のようなもので、鉛筆1本で何でも描いてしまう人もいれば、こんなにたくさん使うんですか?と聞きたくなる程多種多数の筆記具を駆使している人もいるように、人によって様々です。
金床も同様ですが、鍛金の「絞り」という技法を行うには、1本の当て金(金床の1種)でできる範囲が限られています。故にやむを得ず増えてしまう、というのが現実でしょう。
この「当て金」の問題に苦労することが多く、自分なりに方法を考えていく中で多機能な当て金を開発してきました。それらをご紹介することにしました。
iMetal工房の多機能な当て金「RT・RTG」です。少しの種類で多様に働くように開発した道具です。
詳しくは「当て金の紹介」のページをご覧ください。
工房の道具
下の写真はここの道具たちです。
多くの「当て金」などがありますが、全てが必要というのではなく、開発期の諸々が多く、様々な試作品を作り、試用することで改良を続けてきました。
それらの結果が多機能な当て金「RT・RTG」として発表出来ました。
これからも改良を続けたいと思います。
鍛金の絞り技法をスムーズに行う目的で開発しましたが、
ロウ付けや溶接で組み立てた物の整形や均しにも有効です。
鍛金の可能性を拡げ、多くの人が楽しむことができるように!
当て金作りの労力によって、
創作の意欲や楽しさが減ってしまうことのないように!
「RT・RTG」があなたの「つくる」楽しさを、お手伝いできれば幸いです。