RTの紹介
ソケット式当て金「RT」
は「当て面」の交換とオフセットを可能にした道具で、わずかな数の道具で多様な働きを目指しました。
機能部分を支持部から切り離し、ソケットを設けることで多種類の機能部品を入れ替えて使える道具です。
基本的な形として支持体に45度にソケットを設けて「基本型」としました。
この「基本型」の置き方で縦横双方向の使用が可能で多くの機能が生まれ、有効に働く道具となりました。
詳細は次の「RTの特徴」をご覧ください。
右は「基本型」の縦挿し使用例
中央の直立させたのが「ぶったて型」
左は「基本型」の横挿し使用例
(この例では「延長用」で「常用当て面」をオフセット使用)
「ぶったて型」と「基本型」のソケット部分
RTの特徴
このソケット式にしたことで生まれた利点は次のような例です。
① 一つの当て面部品を様々な支持体に使えること、
また、一つの支持体で様々な当て面部品を使えることで様々な当て金の状態を可能にします。
②「基本型」はソケットを45度に設けてありますから、据え方を裏返すことで縦横双方向の使用が可能です。(④⑤参照)
③ 当て面の方向を選べます。当て面部品側に丸軸を付け、支持体側に設けた丸穴のソケットに差し込む構造であり、360度の任意な方向にセットが可能です。
④ 支持体の据え方を変えることで横挿し使用も可能です。
従来は使わなかった側面や先端面も機能するようになりました。
写真のような例を「5面式」と呼ぶことにしました。
⑧のような様々な機能部品を自作して使えます。
⑤ 「延長用」ソケットにより、従来の「への字床」と呼ばれる当て金の状態も可能です。挿しこみ深さを選べますからオフセットの加減も出来ます。
⑥ ソケットの 下側から差し込んでも使用できます。
器の肩を成形する時などに有効です。
⑦ 機能部品側に木や鉛、松脂台など異素材をセットできます。
部分的松脂台による成形など、当て金とは別の働きを得ることができます。
これはとても有効で、大型作品の松脂作業も目的の部分だけを当てて作業できます。
⑧ 既存の当て金も無駄にはなりません。
分断して軸部を加えることで、全ての部分が多数の新しい機能部品に生まれ変わります。
( 従来は使わなかった側面も有効になります。また、支持体部分も機能部品に出来ます。)
⑨ それまで当て金を作るということはかなりたいへんな作業でしたが、機能部品だけを作るか変更すれば良いことになり負担は極めて減少しました。
手入れをする場合も機能部品だけを扱いますから負担は減少しました。
後述のように鋼丸棒の端部の加工だけでも当て面部品として活用できます。
また、当て面部品はそれ自体が手持ち使用の当て盤としても有効です。
⑩ 機能部品は小さいため、収納はキャビネットに整然と並べられ、管理も容易となりました。
支持体や主な部品を強靭なダクタイル鋳鉄で作ってあります。
支持軸部などはS45Cを組み合わせたものもあります。
現在のところ、当て面部品は鋼材による物と両方、または組み合わせた物ですが、ダクタイル鋳鉄の一体型に向けて改良中です。徐々に紹介して行く予定です。
これらの機能によって格段の成果を得ましたが、なるべく身近な材料や部品によって当て金の機能を実現したい、という思いも有りました。
まず、市販の鋼丸棒さえあれば様々な対応が出来る、ということが基本的構造です。
(S45Cの磨き丸棒がおすすめです)
その端部を目的の形に削るなどすれば、それだけで当て金として機能します。その丸軸に鋼片などを加えれば、機能は拡大します。立方体のような鋼片を付ければ、5種類の面を活かして5面式となります。
もっと簡単に多種類の機能を得る方法として、ボルトを活かす方法もあります。関心をお持ちくださる方はお問い合わせください。
これらに加えて「ギア式延長用」を使うことで、後述の「角度可変式」の機能も使えるようになりました。また、それにより「RT」でもギア式当て金「RTG」の多様な構成も併用可能となりました。
RTの支持体
「RT」の「基本型」と「ぶったて型」が木台を使う支持体です。
木台の無い環境では「万力型」を使います。
「万力型」は「卓上型」として、作業机などでも使えます。
小型ですが、しっかり固定をすれば安定した作業が可能です。
もちろん木台に固定することも可能です。
この画像は木台を使う例ですが、左右のものが「基本型」としているもので、当て面となる部品を縦挿しと横挿しの両方に使用できます。つまり、初期の絞りから、やや深い絞りまでを可能にします。(この右の例は下からセットして器の口や肩を絞る時の例です。) その間にあるのは「ぶったて型」です。「基本型」でほとんどの絞りが出来ますが、やはり「ぶったて」もあれば快適です。 (中央手前のボール形の当て面はソケット式の仕様で製作した道具ですが、木台に直接挿し立てても使用できます。)
この画像は「万力型」を使う例です。
この「万力型」は木台の無い学校や環境のために考えたもので、「基本型」と同じく縦挿しと横挿しの両方に使用できます。
滑り止め(下側の小さな凸部)が有り安定して使えます。
口金の右側でも左側でも使えます。
当て面部品の製作・改造や手入れをするときにも便利なものです。
下の画像は「万力型」に「延長用」を据え付けてオフセットして使う例です。
この画像は「卓上型」です。 万力も無い学校や環境のために考えたもので、「万力型」を卓上台に組んだ物です。「万力型・基本型」と同じく縦挿しと横挿しの両方に使用できることと、斜め方向にも据え付け出来ます。 手軽な作業用ですが、ネジかクランプで固定すれば絞りのような作業も安定して出来ます。
「角度可変式」の紹介
「RT」は当て面部品を交換できることと、その部品の軸の回転方向の任意の角度に変えて据え付けられますが、前後方向の角度も可変にするため、ギア接続の構造を開発しました。ギアが細かいほど角度を選べますが、鍛金の強い打撃に耐えるため、16山のギアにしました。
先ず、「RT延長用」のソケット部にギアを設けて、そこにソケットを据え付ける案を開発しました。
「ギア式延長用」と「ギア式ソケット」です。
ソケットは使用する当て面部品のサイズにより、∅16と∅24の2種類があります。
下の図の左上のRT16用か、左下のRT24用のギア式ソケットを右のギア式延長用に任意の角度で据え付けて使用します。
それによって下図のように展開できるようになりました。
このギアを活かしてギア式当て金「RTG」を開発しました。
その後、ソケットを使わず直接据え付ける方法により、「RTG」が生まれました。
「RTG」は当て面部品だけでなく、支持体の角度も可変としましたので、
格段の自由度を得ることができました。
また、「RT」との互換性も持たせましたので、
組み合わせることで、さらに多様な構成が可能となりました。
「RTG」については「RTGの紹介」をご覧ください。
RTの当て面部品
これらの部品は主な物の紹介です。
詳細は「カタログ」をご覧ください。
きのこ形基本当て面
いわゆる従来の当て金の坊主床の頭部に相当する物です。
従来の当て金の「坊主床」はとにかく便利な道具です。それ一つでかなりの物が作れました。
そのシンプルな当て面の機能を持たせて基本当て面としています。
ボール付き基本ピン
ボールを溶接したものはシンプルですが働き者です。
ボール形は丸みが強すぎることもありますが、どの方向から当てても同じ効果を得ることができます。変形物の成形にはとても便利な当て面で、当工房では頻繁に活用しています。
同じボールでも溶接する位置を変えると更に働きが増えます。
常用当て面部品(3種類)
主に縦挿ししての絞り・均しに使用する他、横挿しして側面を使うなど様々な働きをします。
基本当て面部品だけでかなりのことができますが、器の内側を滑らかにしたい時などは、その形状に合った当て面を必要とします。
溶接用ピン
鋼片などを溶接して、当て面部品を作る時に使用する他、この頭部を削って小さな当て面部品を作ります。
加工用ピン
このままでも使えますが、目的に合わせて削って使うこともします。
(素材はS45C磨き丸棒です。)
端部加工ピン
基本的には直径16mm(または24mm)の丸棒をセットすれば、それだけでもある種の当て金の働きをしますが、
端部を目的に合わせて削って使うこともします。
(丸棒はS45C磨き鋼を使用します。)
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これらの部品は主な物の紹介でした。
詳細は「カタログ」をご覧ください。